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顧客のニーズを探るヒアリング術:ウォンツとの違いと効果的な質問法

ニーズを探るヒアリングの重要性

営業において、顧客のニーズを的確に把握することは、商談の成否を左右します。単に「何を欲しいか」を聞くのではなく、その背後にある本質的なニーズや課題を探ることが、競争の激しい市場での差別化につながります。

顕在ニーズ(すでに明らかにされている欲求)だけでなく、潜在ニーズ(顧客自身が気づいていない課題)を引き出せるかどうかが鍵です。潜在ニーズを理解することで、顧客は「この営業担当者は自分を本当に理解している」と感じ、信頼を寄せるようになるでしょう。

顧客のニーズとウォンツの違い

ヒアリングの際、顧客が話すのは主に「ウォンツ」(具体的な欲求)です。例えば、「このツールが欲しい」「作業を楽にしたい」など。
しかし、営業担当者が探るべきは、そのウォンツの背後にある「ニーズ」(真の必要性)です。ウォンツは顧客の表層的な要望にすぎないことが多く、真のニーズを明らかにするためには、ウォンツの背景を深掘りしていく必要があります。

顧客に「なぜそれが必要なのか」「それを使うことでどんな結果を期待しているのか」といった質問を重ねることで、顧客自身が気づいていないニーズを浮き彫りにできます。

「ニーズとウォンツの違い」の具体的な例

例1.ソフトウェアの購入におけるニーズとウォンツの違い

ウォンツ(欲求):「最新のタスク管理ソフトが欲しい」

これは顧客が具体的に求めている「欲しいもの」です。顧客は、新しいツールが便利そうに見える、他社が導入しているから、といった理由で欲しがっているかもしれません。

ニーズ(必要性):「プロジェクトの進捗管理を効率化したい」

顧客の本質的なニーズは、業務を効率化することです。単に新しいソフトを使うことではなく、日常的に抱えている業務の複雑さを解消し、よりスムーズな管理を行いたいというニーズが隠れています。

例2.家電の購入におけるニーズとウォンツの違い

ウォンツ:「最新のスマート冷蔵庫が欲しい」

顧客は、デザインが気に入ったり、他の人が使っているのを見て欲しくなったりして、この最新家電に興味を示しています。

ニーズ:「食材管理を簡単にしたい」

実際のニーズは、冷蔵庫の中身を効率的に管理し、食材の無駄をなくすことかもしれません。このニーズに応えるためには、単に新しい冷蔵庫ではなく、在庫管理ができる機能や、スマート通知機能が必要です。

例3.自動車の購入におけるニーズとウォンツの違い

ウォンツ:「高級車が欲しい」

顧客は、高級車を所有することでステータスを得たいと考えているかもしれません。

ニーズ:「安全性が高く、燃費の良い車が必要」

真のニーズは、長距離通勤や家族の移動を安全かつ経済的に行いたいということかもしれません。

このように、ウォンツは表面的な欲求であり、具体的な製品やサービスに結びつくことが多いのに対し、ニーズは背後にある根本的な課題や解決したい問題を指します。

潜在ニーズを引き出すテクニック

顕在化しているウォンツを把握したら、その背景にある潜在ニーズを探るステップが必要です。効果的な質問の一つとして、「なぜそれが欲しいのか?」と深掘りする質問があります。
この問いかけにより、顧客が抱える真の課題を引き出せることが多いです。

また、単なる情報収集に終わらないために、気づきを促す質問を投げかけることも有効です。例えば、「こういったニーズも考えられますよね」や「この原因が影響しているかもしれませんね」などの問いかけを行うことで、顧客が自ら気づきを得る手助けができます。

効果的なヒアリングを行うために

効果的なヒアリングを行うためには、事前準備が不可欠です。顧客の業界や現状の課題、競合情報などをリサーチしておくことで、的確な質問が可能になります。特に、ヒアリングシートを作成しておくと、顧客との会話が効率的に進み、必要な情報を漏れなく引き出すことができます。

ヒアリングシートには、顧客の基本情報や意思決定プロセス、予算、競合情報などを整理しておくと良いでしょう。また、営業チーム全体でシートを共有し、改善しながら使うことで、チーム全体のスキル向上にもつながります。

ヒアリングの基本的な流れ

ヒアリングの際には、質問の順序が重要です。最初から顧客の未来の計画や決定事項を聞くのではなく、まずは「現状」について話を引き出し、次に「過去の経緯」、そして最後に「未来の課題解決」について話を進めることで、スムーズな会話ができます。

また、「BANT」(予算、決裁権、ニーズ、導入時期)や「4W2H」(何を、誰が、いつ、どこで、どのように、いくらで)といったフレームワークを活用することで、聞き漏らしを防ぐことができます。

ヒアリングは信頼関係構築の機会でもある

ヒアリングは単なる情報収集の場ではなく、顧客との信頼関係を構築するための機会でもあります。顧客の話に真剣に耳を傾け、共感を示すことで、「この営業担当者は自分のことを理解してくれている」と感じてもらうことができます。雑談を交えて、商談に自然に移行することで、より深い信頼関係が築けるでしょう。

また、信頼関係が強固であれば、顧客から新たな相談が寄せられることもあり、リピート受注やアップセルのチャンスが広がります。

まとめ

営業におけるヒアリングは、顧客のニーズを正確に把握し、課題解決につながる提案を行うための最重要プロセスです。
特に、顕在ニーズだけでなく、潜在ニーズを引き出すことで、他社と差別化し、顧客との長期的な信頼関係を築くことができます。

販売の神様であるブライアン・トレーシーの言葉に「No needs, No sales.」(ニーズの無いところにセールスは生まれない)というものがあります。ニーズとは、ヒアリングで探り、その中で積み上げていくものです。つまり、ヒアリングなくして、現代のセールスを成功させることはできません。
スムーズな提案などの話をする力ももちろん重要ですが、それ以上に聞く力がなくてはセールスの成功は難しいでしょう。

監修
ライフデザイン
パートナーズ
代表浅川 智仁氏
 
代表浅川 智仁

「売れない営業マンを無くしたい」96.7%の高い再現性を誇る営業研修を実施

会社員向けの能力開発プログラムの電話営業マン時代、入社からたった2年で3億円を売上げた実績を持つ浅川氏。現在はライフデザインパートナーズ株式会社を設立し、過去の経験を基にした再現性の高い営業研修を行っています

     

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(※1)参照元:ライフデザインパートナーズ公式HP(https://www.life-design-partners.co.jp/voice/20180419-70/)
(※2)参照元:浅川智仁氏オフィシャル公式HPプロモーション動画より(https://www.asakawa-tomohito.jp/)